大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)442 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人高木廉吉の上告趣意について。

原審の是認した第一審判決は被告人が「不当に高価な額で」判示物件を買受けた

との判示事実を認定し、物価統制令九条ノ二、三四条を適用しているのである。さ

れば被告人が判示物件の統制額を「幾何であるか数字によつて」認識していたか否

かは、判示犯罪の成否には何等関係なきところである。従つてかかる事実を証拠を

挙示して認定しなかつたからとて同判決及びこれを是認した原判決に所論のような

訴訟法違反ありということはできない。しかも原判決の説示するとおり、被告人が

不当に高価な額であることを認識しながら敢て判示物件を買受けたものであるとの

第一審判決認定の事実は、同判決挙示の証拠に照らしこれを肯認するに難くないの

であるから、所論は憲法違反を云為するけれども、畢竟事実審の裁量権に属する事

実の認定を非難するに帰着し刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。ま

た記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条三八六条一項三号一八一条により主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二六年六月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!